研究概要 |
本年度は,静的障害物が存在する部分的に未知な環境を,視覚を持つ移動ロボットが障害物を避けながら決められた目的地へ向かう,という問題を対象にし,プラニングと行動の並列スケジューリングのための基礎理論を研究した.この問題は一般的には,上位レベルが下位レベルのためのサブゴールを決定し(例えば,次の観測位置の選択),下位レベルはそのサブゴールを達成するための行動(例えば,次の観測位置への移動)を計画・実行するという,階層的プラニング問題のクラスに属すると考えることができる.そこで,そのような問題クラスに対して有効なスケジューリング手法を研究した.その結果, ・繰り返しによってサブゴール候補を徐々に減らしてゆくプラニング手法. ・サブゴールを決定する基準(決定基準). ・サブゴール候補集合と行動との一貫性を評価する基準(一貫性基準). が与えられたときに,最適なプラニングと行動の並列スケジューリングを行うアルゴリズムを考案した.すなわち,プラニングの繰り返しごとにサブゴールの候補集合を評価し,次の繰り返しに要する時間とサブゴール候補の改善度を見積もる.それらの情報からサブゴール集合との一貫性を満たし,かつプラニングと行動の並列度を最大にするような行動を選択する.これを決定基準が満たされるまで繰り返すことにより,サブゴールへ到達する. このアルゴリズムを移動ロボットの視覚-行動プラニング問題に適用し,PC上のシミュレータで評価し,その有効性を確認した. また,1回の繰り返しによって得られる各サブゴールの評価の改善度や,繰り返しに要する時間を評価する手法についても検討を行った.
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