研究概要 |
本年度は,まず,情報処理用語を記述したテキストを教材として,その理解内容を外化させるグラフィカルユーザインタフェイスを開発した.本インタフェイスでは,学習者による理解内容の外化(知識外化)を促進するために,理解内容を可視化する表現としてダイアグラムを提供しており,このダイアグラムを用いて理解した内容を記述する過程を外化過程と捉えている.また,学習者にかかる外化の負荷は,ダイアグラムの記述作業とみなされる.次に,個々の学習者に応じて外化の負荷を制御するために,最終的に外化されうるダイアグラムの断片をあらかじめインタフェイス上に提示するメカニズムを開発した.これにより,学習者は,提示されていないダイアグラムの部分だけを記述すればよいことになる.本制御メカニズムの特徴は,学習者の既有知識と下化能力に応じて,外化にかかる負荷を見積もり,負荷が大きければダイアグラムのどこをどれくらい断片として提示すべきかを決めることにある.このような断片提示制御によって,適用的な外化支援が可能になっている.本研究では,こうした断片提示が,外化の効果(教材について理解した内容が知識として定着すること)を引き出すのに貢献するかどうかを調べる予備的な実験を行った.その結果,有意に貢献するという知見を得た.以上の成果については,国内の関連学会で発表するとともに,国際会議において公表した.また,これらの研究成果をまとめ,人工知能学会に論文を投稿した.
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