本研究では、多数の画像から幾何学的情報と光学的情報を統合することによって3次元物体の認識を行うことを目的としており、本年度は、研究実施計画にあるように、連続画像から3次元形状を測定する方法について検討を行なった。特に、本年度は、双対空間を用いて画像中の幾何学的情報である線分情報から対象物体の形状を復元する方法について重点的に検討を行なった。この結果、「カメラの動き方に関わらず、その焦点の位置が既知であれば、異なる位置で撮影された複数の画像中で対応する線分と焦点から構成される平面群は、双対空間中では直線上に並ぶ点群になる」という性質を利用した形状復元手法を提案し、シミュレーションおよび実際の画像を用いた実験によって、本手法による形状復元の有効性を確認した。また、ここで示した形状復元手法では、対象物体の頂点・稜線・面を求めることができるため、本研究の目的である3次元物体の認識を行う場合にも有効な方法であると言える。そして、ここまでの研究結果をまとめたものを、日本機械学会中国四国支部第36期総会・講演会において、「双対空間を用いた連続多視点画像からの形状復元」と題して発表を行う予定である。 また、本年度は、上記の形状復元手法に関連し、カメラの幾何学的特性の較正を行うため、従来から示されている方法に対し、本研究に合わせた手法の検討、そして、3次元空間中の点群から直線を検出するための効率的なHough変換の検討も行なった。さらに、現在は、明度情報を用いた形状復元として、固有空間法を応用する方法について検討を行なっている。 来年度は、今年度検討した双対空間を用いた形状復元手法と現在検討中の固有空間を用いた形状復元手法を統合し、より効率的かつ頑健な、3次元物体の形状復元および認識手法について研究を進める予定である。
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