研究概要 |
本年度は,インターネット上で分散して蓄積された多種の地図データを合成して一枚の地図として表示するために.地図中の名前を自動的に配置を行うシステムの形式化および開発を行なった.特に.「力学モデル」に基づいた動的レイアウトの問題を中心に研究を実施した.この方式は.不適切な位置に配置されている図形に対して.適切な位置へ移動する力を与えることにより,地図中の全ての図形を重ならないようにレイアウトする方式である.動的レイアウト手法の特徴は以下の4点である. ・各データベースから問い合わせ結果が得られた時点で即座に表示する. ・時間と共に地図の品質が上がり,途中で止めることも可能である. ・統一的モデルで記述可能であるため拡張性を有する. ・画面情報の変化に対してインクリメンタルな対応ができる. この力学モデルに基づいて,JAVAを用いてサンプルシステムを作成した.そして,そのサンプルシステムを用いて提案方式の有効性を確認する実験を行った.この時の評価基準を,地図の可読性および地図が安定するまでの時間とする. 可読性とは.地図の認識のしやすさを表す.これを評価するために以下の3つの項目を用いた. ・重なり率:表示画面における,表示画面中の名前図形重なりの割合 ・不適切配置率:ある地理図形に対して最も近くに配置される名前図形が自分の名前ではないもの全体に対するの割合 ・不適切組み合わせ数:ある地理図形に対して,その地理図形の名前図形より近くに配置される名前図形の個数 安定までの時間を評価するために以下の2つの項目を用いた. ・移動量の合計:名前図形の移動量の合計値 ・画面中の力の合計:名前図形の影響力の絶対値の合計値 上記の5つの項目に対しての評価を行った.その結果.時間の経過とともに可読性が高くなり,比較的短時間で地図が安定することがわかった.これにより,提案した方式の有効性を示すことができた.
|