今年度は対象画像を緑内障診断で使用される眼底写真に絞って、帰納学習による画像の分類方法を提案した。これは次の2点からなる。 (1)緑内障のように専門医の少ない疾患の診断には、インターネット通信を介した遠隔医療が重要であり、また早期発見を目的とした検診などでは多数の患者のデータを扱える必要がある。そこでまず、コンピュータによる緑内障診断システムを実現するために、対話性・拡張性に優れ、画像のやりとりを容易に行なえるインターネット言語Javaを用いてシステム設計を行なった。特に、診断のために緑内障の専門医の経験的な知識を用いて眼底画像を解析するところに特徴があり、インターネットを活用して帰納学習に必要なデータベースを構築した。 (2)帰納論理プログラミングの枠組で、学習ターゲット同士を関係付けるルールを導出できる逐次学習を提案し、これをベースにして緑内障を診断するために眼底画像を分類する規則を導出した。学習に際して包含する負事例の割合を変化させて実験を行ない、学習の精度との関係を明らかにした。さらに、逐次学習の各段階を示しながら、逐次学習が帰納論理プログラミングの高い表現力を活かして階層的で構造的なルールを、学習の感度と精度の両方を高めながら導出できることを示した。
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