今年度は昨年までの研究成果を論文としてまとめ、国際会議にて報告した。具体的には、帰納学習の対象を緑内障眼の眼底写真とし、緑内障かどうかを自動分類するルールを生成し、ルールの精度を明らかにした。ここで取り上げた眼底写真は早期緑内障に属するもので、専門家でも分類するのが非常に困難である。これを帰納学習からのアプローチで自動化し、39の早期緑内障眼において、画像一つ一つをいくつかのセグメントに細分化し、セグメントごとに異常かどうかを判定した。このデータを入力として、我々の開発した帰納学習システムGKSを実行させ、ルールを清々した結果、ルールの精度は75%になった。これは研修医の精度を上回るものであるが、専門医にはまだ及ばない。こうした実験を分析し、本アプローチの有効性と限界を明らかにした。 次に、学習システムの学習プロセスおよび生成されたルールの性能を明示するために、3次元グラフィックスによる視覚化システムを設計し、実装した。学習時の仮説空間を探索する様子やルールの統計的指標を使った表示を行った。このシステムはプログラミング言語Javaで実装し、非常にポータビリティの高いものとなった。これをGKSに組み込むことに成功し、学習機能と視覚化機能を融合させることができた。これは、本視覚化システムが帰納学習のツールとして広く利用できることを示している。
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