本年度は、まず相補解の列挙アルゴリズムの開発を行った。これは、マトロイドという線形独立性の抽象化の枠組みで論じることができ、マトロイドの極大な独立集合を列挙するアルゴリズムの提案に他ならない。ただし、これは、筆者らがすでに公表した論文「Finding all common bases of two matroid」と同様の理論展開は出来ず、実用的なアルゴリズムにするには、まだ少し時間がかかると思われる。更なる研究が必要である。第2に行ったことは、筆者が今までに考案してきた、線形相補性問題に対する組み合わせ的なアルゴリズムの実現である。具体的には、プログラムを開発してライブラリー化して、研究者に公開し、それをたたき台にして、更に効率の良いプログラムの開発を試みている。 なお、上述の研究結果に関しては、9年度夏、スイスで行われた「国際数理計画シンポジウム」で発表した。
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