本音度は、渋谷、大宮、スインドン、ラースフェンブルグなど、世界各地で本実施を想定した電子マネーの実証実験が展開された.これに合わせ、各国で電子マネーを想定した金融法制度が検討されている.しかし、金融論の理論経済学では、ハイエクの「貨幣発行自由化論」で、適切な情報公開と市場競争による自然淘汰が有効と言われている。電子マネーも、社会に定着する金融システムとなるためには、こうした自然な競争による淘汰が望ましい姿であり、国や中央銀行が政策的に統制することは望ましくない. この観点で、このような情報を公開すれば、適切な電子マネーの市場競争が起きるかを検討する研究を行った.昨年の調査やモデル構築研究により、電子マネーの流量を現金準備高や電子マネーの発行高を公表することによって制御できることが明らかになり、普通預金と同じ支払準備率として制御するのも一つの方策であることが分かった. 本年度は、さらに、国際間取引による為替変動、金利相違などを組み込み、考察を深めた.一方、各地の実験で思うように利用者が増えないという事実があり、普及のための戦略検討が火急の課題となった.このため、一般利用者を対象にした意識調査をアンケートにより実施した.この結果、女性は割引きを、男性、特に35歳以下では利便性を顕著に望み、手数料より年会費を、また安全性を非常に重要視していることなどが分かった. なお、これら研究成果は本研究室の成果報告書としてはまとめたが、外部発表は3月以降順次、学会発表、論文発表を行う.
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