研究概要 |
今年度の研究により,動的体積モデルを用いた三次元CTデータからの臓器領域抽出法に関し以下の成果が得られた. 1.対象とする三次元CTデータの検討 従来の領域抽出方法は、CT値が他と明確に区別できる組織に対して有効であるが,周囲の組織とのCT値差が明確でない内臓部分等については良好な抽出結果を得ることが困難である.このような従来法による抽出の困難さ,および専門医の意見を基に実際の診断における重要度を考慮し,人間の肝臓領域を抽出対象とすることとした. 2.従来提案されている動的体積モデルの比較・検討 動的体積モデルだは,データ内に閉曲面を設定し,曲面の形状を修正し抽出対象の境界と一致させることで領域抽出を行う.曲面形状の修正法としては (1)曲面上で曲面形状・CT値勾配等を基にエネルギーを定義しエネルギーが最小となるよう曲面を修正するもの (2)曲面形状・CT値勾配等より曲面の膨張・収縮速度を決定し曲面の膨張・収縮を領域境界上で停止させるものに大別できる.本研究では,CTデータの持つ三次元情報を領域抽出処理に反映する際の容易さを考え,geodesic active volumeと呼ばれる(2)の手法を用い,三次元領域抽出法を検討することとした. 3.三次元領域抽出法プロトタイプの実装 従来の動的体積モデルを用いた領域抽出手法の問題点に対処するため,新たに以下の二手法を提案し,三次元領域抽出手法のプロトタイプの実装を行った. (1)閉曲面上の各点でx-y,y-z,z-x各平面上における二次元曲率を計算し,これらを速度関数に導入することで,CTデータの持つ三次元情報を抽出処理に有効に利用する手法. (2)抽出処理を二段階に分け,対象領域の大まかな形状の抽出を行った後に細かな形状の抽出を行うことにより,閉曲面の初期設定位置が抽出結果に与える影響を抑制する手法.
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