非構造格子は、有限要素法等の計算スキームを利用する多くの応用で必要不可欠である。格子点が規則正しく並ぶ構造格子と比較して、格子の並びに規則性をもたないため、非構造格子データはより高度な可視化技法を必要としている。一方ベクトルとスカラー量の効率的な同時表示法に流線積分畳み込み(LIC)法が現在たいへん注目されている。入力ホワイトノイズ画像を流れの方向にぼやけさせ、流れを示すテクスチャを生成することにより、LIC法は流れの微細な構造や大域的な特徴を直観的かつ効果的に可視化することができる。また、スカラー量もテクスチャの色などを利用して効果的に可視化することができる。しかし、従来のLIC法では、流れ場の格子のセルが入力画像のピクセルと1対1関係にある必要があるため、その適用が構造格子だけに制限されていた。本研究の初年度である平成9年度はまずこのLIC法の3次元非構造格子への拡張を試んだ。そして、CG分野で利用されているソリッドテクスチャンリング技法を借用し、入力画像にソリッドノイズを用い、流線計算を3次元非構造格子上で直接行うことにより、非構造格子で表されている3次元面上の流れを可視化できるLIC法の開発に成功した。また、1995年にドイツで開発された2次元構造格子のためのLIC法の高速化アルゴリズムを非構造子に向けて拡張し、グラフィックスワークステーションの高速レンダリングハードウエアを利用した非構造格子のための高速LIC法も提案、実装した。 平成10年度は同技法の非定常流への応用および及び3次元LIC画像の表示法について研究を継続する予定である。
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