研究概要 |
本研究では平成9年度において,以下のような結果を得た. 電子透かしと呼ばれるディジタルデータへの,情報埋め込みの基礎方式として,スペクトル拡散システムを利用した情報埋め込み法を提案した(SCIS-10.2.B).この方法は疑似乱数系列が暗号でいう鍵の役割を果たしており,埋め込みのアルゴリズムが公開されていても,簡単に埋め込んだ情報が消されないようになっている.またデータ全体にわたり情報が埋め込まれるため,品質の劣化も少なくすることができる. 送り先情報埋め込み方式の開発として,送り先の情報符号化方式を国際会議(ICICS'97)で提案した.これまでの方式では不正コピーを複数のユーザが結託して配布した場合,そのうち一人のみが検出できるようになっていた.また以前に提案されていた手法では,サーバからユーザに送られるデータ品質に差が出るという欠点があった.それに対し,提案した手法では二人を検出可能であり,データ品質も一定となっている. 電子図書館のようなシステムでは,サーバによる不当な追求を防止することは,ユーザが安心して利用できるために重要である.本年度,このようなサーバの不正を防止するシステムの構築法を提案した(ISEC,SCIS-9.2.B).提案したシステムでは,これまで全ての処理を行なっていたサーバを,データを持つサーバと電子透かしを埋め込むサーバの二つに分割することで,安全なシステムを構築した.これまで提案されてきたサーバの不正をシステムでは,ユーザが繁雑な処理を行なう必要があるのに対し,提案したシステムではそのような処理が全く必要がない.
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