研究概要 |
本年度は,1)保守対象となるソフトウェアのための「保守用操作体系」の設計と,2)保守作業を行う移動エージェント言語(協調プランニング機能を除く)の試作を行なった. 1)の保守用操作体系を整理するために,保守対象ソフトウェアのインタフェースをインターセプトするラッパーフレームワークを提案した.保守対象ソフトウェアは,オブジェクト指向プログラミングに基づくオブジェクト(群)とする.そのオブジェクトが有する元々から有するインタフェース(アプリケーション・インタフェースと呼ぶ)に加えて,保守の目的で外部から操作するための4つインタフェース(情報サービスインタフェース,ロッキング・インタフェース,進化インタフェース,認証/認定インタフェース)を与えている.現在は各インタフェースの詳細に関して,メソッドのレベルでの仕様を詰めている段階である. 2)の保守エージェントのためには,研究代表者が並行して提案,研究を進めている「共生・寄生モデル」に基づいたモ-バイル(移動)エージェントを試作している.この移動エージェントは,動的に新たな能力や資源を獲得する機能をもっており,保守対象ソフトウェアの設置されている環境の情報を取得して,その環境にとって適切な作業を行うことを目指して設計されている.現時点では,指定したプロトコルに基づいて,簡単な協調作業を行うための能力をモジュールとして動的に与える仕掛けを実装中である(予備的な試作実験は既に行った).今後,プロトコル・ライブラリの拡充と,適切なプロトコル選択機能を盛り込みたい.
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