研究概要 |
自治体などの公共組織における情報化においては民間企業とは異なり、競争力の向上などを目的とする枠組みがなく固有のモデルが必要である。一方、自治体の情報機器装備は民間企業のような経営上の衝動は希薄であるにしろ積極的に進められてきた.しかし機器の普及にはいまだに大きな差異があり,1993年においても職員1人あたりの機器台数において,汎用機で475倍,パソコンで643倍,ワープロで271倍もの格差があるこれまでの研究では、自治体間のこれらの情報化の格差に着目し,個々の自治体の情報機器の導入履歴を時系列的に追跡し,情報機器の導入台数系列に波及効果を検定した。その結果、自治体における情報化進展は履歴性が非常につよく見られ、情報機器導入には経路依存性があるとの知見を得ている。 本研究では情報機器導入台数の典型的な拡大パターンを識別し、自治体属性との関連を分析している。平成9年度においては,数値解析を行うための計算機環境およびデータベースの作成を行った。UNIXをベースとしたファイルサーバを導入し,データ管理及び分析のため,Splus Ver.3.4などのソフトウェア環境を装備した。これらを基盤として687市・10年間の情報化に関する数値データベースを作成した。 自治体へのパソコン,ワープロなどのOA機器導入が本格化した1983年以降の情報機器(汎用機、パソコン、ワープロ)の導入台数などは、自治省「地方自治コンピュータ総覧」から、またその他自治体としての基本的な属性として人口規模,財政力指数,規準財政支出額および収入額などのデータは「地方公務員給与の実態」および「市町村別決算状況調べ」などから収集した。
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