平成9年度は、局所最適解の性質付けを行ない、列挙解法を用いた大域的最適化問題の解法の構築を行なった。 具体的には、以下のような結果を得た。 無向グラフ中の全張木を列挙する算法の構築を行なった。この算法は、全張木を陽に出力するならば、理論的に最も計算量が少ないものである。この算法の特徴は、列挙を行なう用途あるいは使用可能なメモリー量によって、計算時間を変更することなく様々な変種の算法を容易に構築できることである。また非常に簡単なデータ構造を用いるだけで、必要記憶容量に関しても理論的に最も少ない算法を容易に構築できる。さらに重み付き無向グラフに対しては、全張木をその重み順に列挙する算法も、幾つかの改変で構成が可能である。 申請者が現在までに構築してきたマッチングの高速列挙解法を用いて、チャンネル割当問題に対する解法の構築を行なった。この解法では、強い制約式を多数生成すえることによって算法の高速化が図られる。この強い制約の生成は、与えられたグラフの極大完全部分グラフの列挙に対応しており、高速な列挙解法を構築することで強い制約の列挙が可能となった。
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