紛争問題をケーキ分割モデルに帰着することによって公平解決案を研究する。ケーキ分割モデルでは、n人(プレーヤーという)が一個のケーキを分割する。各人がケーキの各部分に関して、違う好みがあるかもしれない。その好みはプレーヤー自身の私的な情報であり、他のプレーヤーには分からない。各プレーヤーの私的な情報を使うことのない分割方法(アルゴリズム)をいかに設定するのかが問題である。そのようなアルゴリズム自身はプレーヤーのケーキに関しての好みの情報を使わないものの、それによりケーキをどう分割すれば、各人とも自分の好みで不満が出ないことが要求される。2人の場合であれば、次の手順がある。一人にケーキを2部分に切らせて、もう一人にそのすきな1部を選ばせるだけで、両方とも満足できることが知られている。研究実績の1番目はこの方法をn人まで拡張した。 2番目と3番目の研究成果は協力ゲームに関する研究である。この種の研究は資源・コスト配分などの紛争を解決するのに大きな役割を果たしている。協力ゲームにおいて、いくつかの公平解概念がすでに提案された。ところが、その解が実際に計算可能かどうかは大きな問題になっている。本研究は計算複雑性の角度から各解概念を比較した。 4番目の研究成果は紛争者が互いに異なる情報を持つときに、様々な仲裁ルールのオファーの収束問題を検討するものである。結果として、本人が最近提案した仲裁ルールDOAがほかの仲裁ルールより優れていることが分かった。
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