研究概要 |
本年度は,半正定値計画問題の一般化である,自己双対な錐の上の線形計画問題について研究を進めた.この問題は,他にも(普通の意味での)線形計画問題,2次錐計画問題(凸2次制約凸2次計画問題)など重要な問題を含んでおり,それらを統一的な視点から理解することは,最終的にはより良い半正定値計画問題のための内点法アルゴリズムを構成することにつながると考えられる. その手がかりを得るため,2次錐計画問題を取り上げ,主双対内点法に必要な中心曲線,その近傍や探索方向の概念がうまく定義できることを示し,実際にアルゴリズムを構成,解析し,線形計画問題や半正定値計画問題に対する主双対内点法との共通点について考察した.得られた結果は以下の通りである. 1.中心曲線の近傍は,錐に対応するJordan代数の単位元を主問題の変数xに写す錐の自己同型群の元Gxを用いて双対問題の変数sを変換した量w=Gxsの固有値を用いて定義される.この近傍を用いて種々のパス追跡法が構成できる. 2.半正定値計画問題に対する主双対内点法では,自己同型群による変換によって不変な2つの良く知られた探索方向,小島・進藤・原の探索方向,Nesterov・Toddの探索方向があるが,これらの方向が2次錐計画問題についても自然に定義可能である. 3.上述の2つの探索方向を用いたパス追跡法は多項式性を持つ. これらの結果について,3月にジョージア工科大学システム経営工学科のRenato Monteiro助教授に来日してもらいレビューを受けた.
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