研究概要 |
1.幅広い粒度分布を持つ混合砂礫を対象として、非平衡な場における流砂量を予測するためのモデルを構築した。このモデルは高橋らの石礫型土石流に関するモデルを参考としており、平衡濃度と流砂濃度から各粒径階ごとの侵食速度を計算するものである。 2.上記の理論の検証のために水路実験を行った。既存の矩形断面水路を用いて、さまざまな水理条件下における混合砂礫床の侵食過程に関する実験を行った。水位,河床位といったデータは既存の水位計、河床位計によって計測され、備品費に計上されたPCカード型のデータ収録システムを通じて、ノート型パソコンに記録された。 3.一様な幅の流路における混合砂礫床の侵食過程に関して、1.で得られた理論を基に数値シミュレーションモデルを構築し、2.の実験結果への適用を図り、理論・モデルの妥当性を検証した。 4.1.のモデルを2次元浅水流モデルに組み込み、水みちを形成するような混合砂礫床の侵食過程に関するシミュレーションを行った。 5.姫川流域を対象として、100余りの斜面部とそれに接続する一組の河道網(計算点総数2500余り)とによって構成される降雨・土砂流出モデルを構築した。平成7年7月の豪雨に対して複数の観測点で観測された雨量データをもとに雨量の空間分布を推定し、各斜面下流端における流出流量をkinematic wave法により算定した。この流出流量を河道網への横流入として与え、既存の一次元河床変動モデルによって土砂流出過程を追跡した。
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