本研究は、人工衛星GEOTAILにより、準定常的に観測されているAKR(オーロラ帰路メーター波)のデータを利用し、磁気圏嵐の即時予報を行うものである。現在、Wavelet変換による自動検出に取り組んでいる。以下に、これまでの研究の実績についてまとめる。 まず、本研究では、GEOTAIL衛星により観測されたAKRのダイナミックスペクトルのデータより、まずAKRインデックスを作成する。これは、全空間に放射されるAKRの波動エネルギーに対応するものである。 過去の研究でAKRの発生(AKR onset)と磁気圏嵐とは密接な関係があるといわれている。AEインデックスは磁気圏嵐を表す一つの指数として用いられてきた。そこで本研究では、AEインデックスとAKRインデックスの両方で急激に増加する所を、検出すべき磁気圏嵐と仮定した。まず、AKRインデックスに対してDaubechiesウェーブレット変換を行い、磁気圏嵐の検出を行った。ウェーブレット変換を用いた理由は、周波数と時刻を同時に検出できるからである。ここで、ウェーブレット変換した後に得られるウェーブレット係数の変化の大きさとその位置を表している。したがって、ウェーブレット係数の値に注目し、1993年1月と3月の二ヵ月のAKRインデックスに対してDaubechiesウェーブレット変換を行い解析を行なった。本研究で仮定した磁気圏嵐に対して約75%の検出に成功した。しかし、AKRだけのonsetについても検出されている。これについては、現在のところ分かっていない。 現在は、GEOTAILから送られてきているQuick Look データを用い、かつ本研究で用いたDaubechiesウェーブレット変換を行ない、そしてAKRをリアルタイムで、かつ自動に検出するシステムを構築中である。
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