地球周辺の宇宙での電磁環境は、太陽活動によって大きく変動ずるコロナホールや太陽フレア等の太陽面現象による高速太陽風の影響で磁気圏嵐が発生し、人工衛星の故障の1つの要因である磁気圏内の高エネルギー粒子量の増加を引き起こす。今後、宇宙通信や有人宇宙活動等を進めていくためには、宇宙環境の研究のみならず、宇宙環境の監視や擾乱現象の予報が不可欠となってきている。 本研究は、その宇宙環境予報システムの1つとして、人工衛星が受信するAKR(Auroral Kilometric波動)を自動処理し、磁気圏嵐を予報システムの構築を目的として行なわれた。これは、地球の近傍で発生ずる磁気圏嵐が発生する際に地球の極域で発生ずるAKRを人工衛星により観測し、その観測データの解析により磁気圏嵐について情報を得て、警告をインターネットを通じて発信するものである。 これまでに、Wavelet変換を用い、AKRのパワースペクトル(全エネルギー)の時間変化の大きい時刻の自動検出を行なってきた。その結果、約60%のサブストームの検出に成功した。これを用い、現在、電子メールによる警報の実験をはじめている。また、この情報を発信ずるWWWサーバを構築した(www.akr.cs.ehime-u.ac.jp)。
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