研究概要 |
施設が密集している都市域においては,空間的な被害波及を阻止し被害を最小限に抑制することが地震防災上の重要課題である.特に,空間的な広がりを持つシステム(ライフライン・ネットワーク,市街地,地下街など)においては,連続的な構造物群を一時的に分割することによるブロック化・区画化が,被害の局限化と波及防止に有効であるが,このような災害対応を即時的に行うには,緊急制御用の遮断装置を適切に配置しておくことが必要である.本研究ではこれを大規模システムの最適分割問題と位置づけ,確率論的手法による定式化と解法の提案を行ったものである. まず,一次元分割問題を考える.綿状構造物にランダム発生する被害位置の確率密度関数に基づいて,連続システムの期待連結長さの解析解を4種の形態について示し,各特性を比較した.さらにこれらを任意形状に分割したシステムについて期待連結長さを求め,最適分割問題を定式化した.その解法として動的計画法を応用した手法を提案し,簡単な数値計算例を掲げて最適分割形状に関与する要因について考察した.次に,一次元分割問題を拡張した二次元的な空間分割問題を考え,空間的なブロック構成の最適化にGAの応用を試みた.地域の任意形状への分割問題は求解が困難であるため,地域全体を多数の区画に分割し,これらを組み合わせた形状をブロックとする方法をとった.それぞれの区画は災害発生源となるポテンシャルとして被害率が与えられ,「ブロック内では被害が波及するがブロック間では波及しない」というルールのもとで,総被害期待値が最小化されるブロック構成を求める問題を,組み合せ最適化問題として定式化した.その解法としてGAを適用するとともに,モンテカルロ法によるランダム・サーチとの比較を行い,提案手法の有効性について考察した.
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