研究概要 |
本研究は,通常の微粒子プラズマに関する実験的研究を更に一歩進め,微粒子のマクロな物性を積極的に利用した微粒子プラズマについて研究を行おうとするものであった.その手始めとして磁性体を微粒子として用いた.その場合に微粒子プラズマ中で励起される振動・波動を励起し,その性質を調べることを目的としたものであった. 微粒子として,磁性というマクロ的な物性を持った比較的粒径の大きな微粒子を用いるた微粒子プラズマの実験的研究には,微粒子の浮揚方法の開発が必要不可欠であることが明らかとなった.適用範囲の広い浮揚方法の開発により,微粒子プラズマの実験的研究の更なる発展が予想される. マクロ的な物性を保つ程度の大きさの微粒子を用いる場合,それに作用する重力の影響が非常に大きくなり,プラズマ中で如何に浮揚させるかが大きな課題であることが明らかになった.本研究においては,音波を用いた方法や電場を用いた方法など,様々な浮揚方法を試みたが,振動・波動の励起実験を充分行える程度まで浮揚させるまでには至らなかった.また,本研究では熱陰極フィラメントを用いてプラズマ生成を行っているダブルプラズマ装置で実験を行ったが,磁性体微粒子を用いて実験を行う場合,実験領域をフィラメントから充分離れたところに設定する必要があることも明らかとなった.高温の熱陰極の影響で磁性体がキュリー温度を超えないようにするためである.将来的に,微粒子自体の冷却方法を開発することによってある程度改善されることが予想される.微粒子として強誘電体なども用いる際にも,同様の問題が生じるであろうことは充分予想される. 本研究の派生的研究によって,微粒子の電荷が時間的に周期的に変化する場合にカオス的な現象が存在し得ることを見出した.その結果をInternational Congress of Plasma Physicsにおいてポスター発表した.
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