研究概要 |
1.電離層加熱実験において観測される非線形励起電磁波SEE(Stimulated Electromagnetic Emission)励起機構の重要な過程として、波長に比べて短い特性長の密度不均一プラズマ中をポンプ波が伝搬することによりUpper Hybrid(UH)波が励起されるという過程(Direct Conversion:DC)が提案されているが、本研究ではこれを検討するため、大電力電磁波、地球磁場、および密度不均一などの条件を設定した計算機実験を行った。その結果,密度不均一が存在することによりポンプ波の電場成分が変調され、適当なポンプ周波数が与えられた場合はこれが静電的な振動、すなわちUH波として観測されることが明かになった。また励起UH波のエネルギーの外部磁場に対する伝搬方向、密度不均一のスケールおよびその程度に対する依存性から、非線形波動相互作用を生じさせる可能性が示された。 2.分散メモリ型並列計算機システムを用いて並列化2次元電磁粒子モデルプラズマ計算機実験コードを開発した。各CPUはシミュレーション領域の一部分を分担し、各領域内の電磁場および粒子の運動を解き進める領域分割方式によりこれを実現した。処理時間について複数CPUを用いた場合と1CPUとを比較すると極めて線形性に優れた短縮効果が得られ、CPU間通信のためのオーバーヘッドは計算時間の数%であり、本方式を用いることでさらなる大規模計算機実験が可能となる。 3.並列化コードを用いて計算機実験を行うために不均一密度分布などの初期状態設定の方法を検討し、複数CPUを用いる際にも各CPU領域においてこれらを適切に実現し、全体として1CPUの場合と完全に一致する計算機実験を行うことが可能であることを確認した。
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