地球環境の永続的保全の観点から、誘導熱プラズマを利用した有害産業廃棄物処理技術が脚光を浴びている。この処理では各種反応物を大量に注入した高効率な連続処理方法が望まれている。この要望に応えるためには大口径の誘導熱プラズマト-チの開発が必要となる。本研究では低周波域における誘導熱プラズマの特徴を検討し、新しい低周波大口径誘導熱プラズマシステムを開発することを目的とした。 本研究は平成9年度において、熱プラズマの数値解析および設計を行った。反応性ガスの解離・再結合反応速度を考慮した誘導熱プラズマの温度、速度、および電磁場の分布を解析するための数値解析プログラムを開発した。これは本研究の熱プラズマシステムの開発の基礎となるものである。この数値解析プログラムを用いて、誘導熱プラズマの操作パラメータ(ト-チ径、プラズマガスの供給方法、流量、プラズマ電力、コイル配等)によるプラズマの安定化への影響を調べ、それらの制御による安定な熱プラズマの発生方法を検討した。プラズマを発生させる周波数を300kHz程度まで低くすると、ト-チ壁近傍の温度が低くなり、周波数を低くするだけではト-チの大口径化はできないことがわかった。低周波化によるト-チの大口径化には、ト-チ壁近傍の温度低下を防ぐために、ガスの供給方法を工夫する必要がある。 平成10年度には、平成9年度の数値解析の結果をもとに大口径誘導熱プラズマト-チを設計し、現有の高周波電源に取り付けて、安定な熱プラズマを発生させる。さらにこの結果から低周波域における大口径誘導熱プラズマの安定な発生方法をまとめ、有害物質等の連続処理プロセスのための誘導結合型熱プラズマシステムを提案する。
|