本研究の目的は、SPSや電力衛星で用いるマイクロ波ビームが宇宙プラズマに及ぼす現象の1つであるポンディロモ-ティブ力によるプラズマの穴開き現象の定量評価を行うことである。さらにプラズマの穴あき現象のみならず、マイクロ波とプラズマの非線形相互作用全般に関する計算機実験を行う。本研究では(1)マイクロ波や宇宙プラズマ、電離層プラズマの実パラメータを用いて、非線形相互作用に関する理論計算を行い、定量評価を行う。(2)実パラメータに近いパラメータを用いて計算機実験を行い、現象の詳細な研究を行う。そうしてSPS等でのプラズマ現象を評価し、逆にマイクロ波ビームに求められるパラメータを提言する。 平成9年度は3次元電磁粒子コードを用いたマイクロ波ビームと電離層プラズマとの非線形相互作用に関する計算機実験を行うために、1次元及び2次元での計算機実験を行った。今年度は特に三波共鳴による静電プラズマ波の励起が起こるマイクロ波パラメータ及びプラズマパラメータをサーベイし、静電プラズマ波の励起を確認できた。特に2次元の計算機実験の際に、計算機内のプラズマ空間内でのマイクロ波ビームの形成及び無反射境界の設定を行い、マイクロ波ビームの存在によるプラズマの挙動に関するデータを取得しつつある。この成果を用い、来年度は3次元電磁粒子コードを用いた計算機実験を行い、プラズマとマイクロ波との非線形相互作用に関して詳細に研究を進める。
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