本研究の目的は短パルス高強度レーザーとプラズマの相互作用により高密度エネルギーイオンの生成とこれによるビーム様核融合反応について実験的に調べることである。初年度においては、高強度レーザーと重水素置換プラスチックターゲットを使用して重水素-重水素反応を調べた。 大阪大学レーザー核融合研究センター既存の100TW/0.5psのガラスレーザーを照射強度10^<19>W/cm^2強度で重水素置換プラスチックターゲットに照射し、発生する中性子を時間飛行計測法及びマルチチャネル中性子スペクトルメーターで計測した。その結果、発生数10^6個程度の中性子を確認した。また発生する中性子スペクトルはビーム様核融合反応を示すものであった。レーザーの進行方向に依存した形でスペクトルは変化し、発生する高エネルギーイオンが数MeVまで加速されていることを示唆するものであった。また1TW/100psのレーザー光を同様に重水素置換プラスチックターゲットに強度2×10^<17>W/cm^2で照射したところ、通常では中性子は観測されなかった。しかし予備プラズマを生成しレーザー自己集束をさせることにより10^6個程度の中性子を観測した。中性子スペクトルは同様にビーム様核融合反応を示し数100keVにイオンが加速していることを示唆するものであった。
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