研究概要 |
レーザ光生成プラズマを核とする誘雷用電離チャネルの形成過程を解析するべく,初年度の研究を行った.おおむね当初の計画に沿って進行しているが,予備実験で興味深い現象を見い出したため,研究内容の重点が若干この点に傾いた結果となった. 予備実験として,レーザ光生成プラズマに定常電界を印加する実験を行ったところ,適当な電界強度で印加電極間に放電が誘発された.このとき,放電誘発の確率がプラズマの生成位置で異なることを見い出し,データ収集を行った.この現象は,本研究で問題としている,電荷粒子の移動度に対する衝撃波の影響を示唆するものであり,研究会等で口頭発表を行った. 実験では他に,レーザ光によるプラズマ生成に伴って発生する衝撃波の伝搬過程を調べるために,圧力センサを用いて波面波高値および伝搬時間を測定した.伝搬時間の測定結果は,下に説明する流体コードを用いた計算結果と極めてよく一致したが,波面波高値については,センサの応答が非線形であるために,較正が必要という課題が残された.そのほか,来年度の本格的な実験に向けて,高圧半導体スイッチを用いたパルス高電圧発生装置の製作を進めた. 数値計算による解析については,レーザ光照射により発生する衝撃波の伝搬過程を計算するために,九州工業大学の趙先生により開発された数値流体コードを,既設のワークステーション上で動作するよう,移植を行った.現在のところ,レーザ光エネルギーの設定が大きい場合に計算に不具合が生じる他は,問題なく動作している. 以上の様に,今年度一部の課題が残されたが,次年度では,これらを含めて当初の計画を遂行する予定である.
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