レーザー光放射圧による原子炉燃料粉末の捕集方式として、二つの方式を提案し、それぞれの場合の捕集特性を数値シミュレーション解析した。一つは集光した可視レーザー光またはCO_2レーザー光を粉末に照射し、焦点近傍で捕集する方式(方式1)であり、もう一方は、CO_2レーザー光を照射して粉末をビーム中心軸上に二次元的に光トラップしながら前方に加速し、適当な場所で捕集する方式(方式2)である。一般化ローレンツ・ミー理論により、UO_2粉末に作用する光放射圧を解析した結果、いずれの方式でも、粉末には上に記したような向きに光放射圧が作用する結果が得られ、これらの方式による捕集の可能性が示された。方式1において、ビーム進行方向の散乱力の大きさの点では、CO_2レーザー光のメリットは小さいが、ビーム中心軸方向への復元力はCO_2レーザー光を用いた方が一桁以上大きい。一方、方式2ではCO_2レーザー光を用いる必要があるが、ビーム焦点近傍で粉末を捕集する必要がない。より高出力のCO_2レーザーが開発されれば、ビームを集光する必要もなく、操作領域が広くとれ、光学系もシンプルになると考えられる。 また、幾何光学モデルを楕円体粒子に対して拡張し、非球形性が光放射圧に及ぼす影響を解析した。楕円体粒子に作用する光放射圧の向きは、ほとんどの場合に球形粒子と同じであり、本研究で提案した粉末捕集方式が有効と考えられる。楕円体粒子に作用する光放射圧はビーム焦点近傍を除き、光放射圧はビームに対向する断面積が大きいほど増加していく。一方、ビームに対向する断面積が一定の場合には、楕円体の長軸と短軸の長さの比Ratioが大きくなるにつれ光放射圧は減少していく傾向にあるが、Ratio=2-3付近では振動する場合がある。この振動現象は粒子内部で反射する光線の全反射現象に起因する光カオス現象と考えられる。
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