外熱式石炭ガス化反応による集光太陽熱/化学エネルギー転換を太陽炉最適温度(500-800℃)で行うことを目的として、反応性セラミックを媒体とした以下の2段階熱化学サイクルを検討した。 M_xO_y+δCH_n(石炭)→M_xO_<y-δ>+δCO+δn/2H_2 (1) M_xO_<y-δ>+δH_2O→M_xO_y+δ2H_2 (2) 熱力学的な検討からはFe_3O_4/Fe、ZnO/Zn、SnO/Sn、In_2O_3/In、V_2O_5/V、MoO_2/Moのレドックス系が候補としてあげられる。本研究では、まず、従来の石炭に水蒸気を直接反応させる一段階石炭ガス化反応[CH_n+H_2O→CO+(n/2+1)H_2]と、上記金属酸化物を酸化剤とした反応(1)の石炭ガス化反応の反応効率を、赤外線イメージ炉による外熱方式(反応温度800-900℃)でオーストラリア産瀝青炭を使って比較した。その結果、SnO、In_2O_3で一段階反応の2〜3倍の石炭転換効率が得られることが見出された。実用化のためには、資源として最も豊富であり、コスト面で最も有利な鉄酸化物の利用が有望である。しかし、900℃以下でのFe_3O_4による石炭ガス化反応では、Fe_3O_4→FeOは容易に進行するが、つづくFeO→Feの反応速度が遅く、高い石炭転換効率が得られない。本研究ではこの問題をFe_3O_4にIn(III)、Sn(II)、あるいはNi(II)をドープすることで解決した。すなわち、これら他金属のドープによって、Fe_3O_4が石炭をガス化すると共に金属鉄相まで高速で還元されるようになり、石炭転換率がFe_3O_4の2〜3倍に向上した。石炭を加えながら2段階サイクルの反応試験を行った結果、In(II I)のドープしたフェライトを使って、石炭転換率60〜90%、CO選択率70%以上を保ちながらサイクルが700-900℃で繰り返せることがわかった。
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