磁気閉じ込め核融合装置において、電子サイクロトロン波を用いた共鳴加熱(ECH)と電流駆動(ECCD)は、プラズマ生成・電子の局所加熱・輸送係数の評価・MHD不安定性の抑制等、極めて重要な役割を果たしている。本研究では、電流駆動のために斜め入射された電子サイクロトロン波の入射角及び偏波面の制御を行い、電流駆動のための最適入射条件を調べた。京都大学エネルギー理工学研究所のプラズマ実験装置へリオトロンEにおいて既存の106GHzECHシステムに駆動機構付きミラーシステムを付加し、高パワーでの伝送試験及びプラズマ入射実験を行った。得られた成果は以下の通りである。 1)駆動機構付き入射角制御ミラーを制作し、ヘリオトロンE真空容器内に取り付けた。回転導入端子によって、外部から入射角を任意に制御することが可能で、低パワー(mW)及び高パワー(kW)テストで、入射角を0度から50度まで広範囲に振ることができた。 2)偏波面制御用ポラライザーをHE11伝送系に取り付け、アーキングを生ずることなく、400kW、200msecのパワー伝送ができた。 3)ヘリオトロンEにおいて電流駆動プラズマ実験を行い、従来のトカマク実験ではオーミック電流の存在のためにできなかった駆動電流の直接評価を行った。偏波面はプラズマでの一回吸収が最適になるよう、プラズマ周辺においてX-modeと結合するようポラライザーで制御した。その結果、駆動電流は入射角に依存し、最大駆動電流は約2kA、電流駆動効率は0.01A/W程度であることがわかった。これは、ヘリカルリップルによって生ずる補捉粒子が電流を抑制しているものと推測される。
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