計算機シミュレーションによる核融合装置内のプラズマ・壁表面相互作用に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09780470
• 研究機関: 詫間電波工業高等専門学校
• 研究代表者: 河田 純 詫間電波工業高等専門学校, 情報工学科, 助教授 (20234073)
• キーワード: 計算機シミュレーション / 核融合装置 / プラズマ・壁表面相互作用 / イオン反射 / スパッタリング / 電子放出 / 材料改質 / 表面損耗

研究概要

磁気閉じ込め型核融合実験装置内におけるプラズマ性能向上と最適な壁材料の選択・開発に必要な、プラズマとプラズマ対向壁間の周辺プラズマ中で生じているプラズマ・壁表面相互作用(イオン反射、スパッタリング、電子放出)の詳細な情報を得るために、2つの計算機シミュレーションを行った。対向壁材料候補のC(低Z材)、W(高Z材)を主にターゲット材料に選んだ。
1.周辺プラズマ中での放出粒子の運動とプラズマイオンの対向壁衝撃中の材料の組成変化や表面損耗等を考慮したプラズマ・壁表面相互作用に関する計算機シミュレーションからは、プラズマ粒子衝撃中の対向壁材料の組成変化と、放出粒子の表面への再堆積と表面損耗がプラズマ・壁表面相互作用に非常に大きな影響を及ぼす事や化学的現象(化学スパッタリング、昇華、脱離)が重要な事が分かった。また、TEXTORの実験条件下での計算を行った結果、実験結果を定性的に説明する事が出来た。今後も議論検討しながら共同研究を行う予定である。
2.プラズマ中に多数存在する多価イオンの対向壁衝撃によるカイネティック電子放出特性(主に、イオンの原子番号Z_1依存性)について調べるための計算機シミュレーションは、密度汎関数法を用いて電子励起機構をモデル化する新しい方法により計算を進めた。計算による電子放出比、放出エネルギー分布が実験結果のZ_1依存性を定性的に再現し、Z_1振動が現れる原因を説明する事が出来た。他の研究者による計算結果とも一致した。
1,2共、計算結果に対する他の研究者からの関心は高く、更にプログラムに改良を加え、計算を行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] J.Kawata,K.Nishimura,A.Harada,K.Ohya: "MONTE CARLO SIMULATION OF SECONDARY ELECTRON EMISSION FROM PLASMA FACING MATERIALS" Radiation Effects and Defects in Solids. 142. 149-161 (1997)
• [文献書誌] K.Ohya,J.Kawata,A.Harada: "DYNAMIC SIMULATION OF SPUTTERING OF TUNGSTEN IRRADIATED BY PLASMAS IN AN OBLIQUE MAGNETICFIELD" Radiation Effects and Defects in Solids. 142. 401-413 (1997)
• [文献書誌] K.Ohya,J.Kawata,K.Nishimura: "Secondary Electron Emission due to Below-surface Interaction of Auger Electrons" Physica Scripta. T73. 313-315 (1997)
• [文献書誌] J.Kawata,K.Ohya,K.Nishimura: "Dependence of ion-induced kinetic electron emission on projectile nuclear charge Z_1" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (in press). (1998)
• [文献書誌] K.Nishimura,J.Kawata,K.Ohya: "Slow-electron cascade in potential and kinetic electron emission" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (in press). (1998)
• [文献書誌] K.Ohya,J.Kawata,T.Tanabe et al.: "Ion Reflection and Sputtering at Tungsten Surface Exposed to Edge Piasmas in TEXTOR" Journal of Nuclear Materials. (in press). (1998)