研究概要 |
森林土壌O層の分解が大気中の二酸化炭素濃度上昇や地球温暖化などによってどの程度影響されるかを調べるため実験室内において、大気CO_2濃度及び温度を変化させて、森林土壌O層の呼吸速度の応答を測定した。 【試料及び方法】今年度は、利尻島鬼脇のトドマツ・エゾマツ林O層(モル型)、屋久島安房のスダジイ林O層(モダ一型)及び石垣島バンナ森林公園のイタジイ林O層(ムル型)の土壌調査および土壌試料の採取を行ない、供試試料とした。呼吸速度の測定方法は、通気法を用いた、すなわち、O層試料を温度制御式大型チャンバー(東ら、1995)内に入れ、シ-ロンフィルムで封をしたシャーレに標準エア-を通気し、通気語のCO_2濃度を赤外線ガスアナライザーで測定した。通気エア-中のCO_2濃度は、0,100,200,500,1,000ppmに、測定温度は10,20,30°Cに設定した。 【結果】通気エア-中のCO_2濃度が低濃度(0〜200ppm)のときには、どのO層試料の呼吸速度も高い値を示したが、CO_2濃度が高濃度(500〜1,000ppm)のときには、呼吸速度は低く、またその変化も少なかった。このことによって、大気CO_2濃度の上昇によるネガティブフィードバックを引き起こす可能性が示唆されたが、森林土壌O層の呼吸速度に対する影響は少ないと判断した。 また、測定温度を上昇させると、O層試料の呼吸速度は増加し、各O層間でその温度反応性に顕著な違いが認められた。
|