研究概要 |
ダイズ(Glicine maxL.Merill 品種:エンレイ)の成長に対する高濃度CO_2とO_3の単独および複合影響を調べた。6月から8月までの61日間にわたり、自然光型ファイトトロン内[気温25/18℃(昼/夜),相対湿度75%]で、ダイズを育成した.対照区(350ppm CO_2)、高CO_2区(700ppm CO_2)、O_3区(350ppm CO_2+70ppb O_3)および高CO_2+O_3区(700ppm CO_2+70ppb O_3)の4処理区を設け、CO_2は24時間/日、O_3は6時間/日(10:00〜16:00)で、ダイズに暴露した。 O_3で育成したダイズの個体葉面積は、いずれのサンプリング時においても、対照区に比べて有意に小さかった。また、O_3区の個体乾重量は、播種後22日目においては対照区に比べて有意な差はなかったが、48日目および61日目では有意に低かった。高CO_2区で育成したダイズの個体葉面積は、22日目においては対照区に比べて有意な差はなかったが、48日目および61日目では有意に大きかった。また、いずれのサンプリング時においても、高CO_2区で育成したダイズの個体乾重量は、対照区に比べて有意に高かった。高CO_2+O_3区で育成したダイズの個体葉面積は、20日目においては対照区に比べて有意な差はなく、48日目および61日目では有意に大きかった。また、高CO_2+O_3区の個体乾重量は、22日目においては対照区に比べて有意な差は無く、高CO_2に比べて有意に小さかった。しかしながら、48日目および61日目においては対照区に比べて有意に大きく、高CO_2区とは有意な差が認められなかった。これらの結果より、高濃度CO_2条件下で育成したダイズの葉面積および乾物成長におけるO_3感受性は、生育時期によって異なり、比較的初期の段階では高いが、それ以降は低下することが明らかになった。
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