1. 露水の地域特性・・・露は1997〜1998年に横浜で151日発生した(615日間観測)。年間露水量は7.0mmであり、これは年間降雨量の約1/200であった。1998年8月下旬〜9月上旬に横浜と丹沢大山の中腹(標高700m)で露の連続観測を行ったが、台風通過の影響もあり、同時採取できたのは2日のみであった。大山の露水量は横浜の約1/10であったが、pHは両地点でほぼ等しかった。大山の露水組成は海塩の影響を強く受けており、亜硫酸、硫酸、硝酸、アンモニウムイオンの割合が低かった。これは大山と横浜の大気汚染度の違いを反映したものと考えられた。 2. 露水の化学組成の支配要因・・・1998年には横浜で68試料の露水が採取されたが、平均pHは5.93、総イオン濃度は1.76meq/Lであった。アルデヒドではHCHO濃度が最も高く、CH_3CHO、CH_3COCHO、CH_2(OH)CHOが同程度含まれていた。露水中HCHOの約90%は、大気由来のS(IV)との反応により、ヒドロキシメタンスルホン酸(HMSA)として存在していることが分かった。しかし、HMSAはS(IV)の30%程度であり、残りのS(IV)は他のアルデヒドと付加物を形成しているか、あるいはHSO_33^-として存在しているものと考えられた。 3. 露水酸性度の支配要因・・・過去4年分の露水pHと陰イオン組成との関係について検討したところ、PHの低下に伴ってNO_3^-の割合が増加していることが明らかになった。このことより、露水は主にHNO_3の吸収によって酸性化していることが示唆された。そこで、NHO_3の沈着抵抗モデルを用いて露水中NO_33^-濃度の支配要因について検討したが、HNO_3の露液滴への沈着だけでは露水中NO_33^-濃度を説明できないことが分かった。この原因としては、夜間大気中で生成されるN_2O_5の露液滴への溶解が考えられた。
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