地域の公園等レクリェーション地の需要予測モデルを構築するため、札幌市内の総合公園および運動公園を調査対象とし、札幌市民を被験者に公園の利用実態をアンケート調査により行った。 その結果、アクセス交通手段については、都心部の公園以外では、徒歩圏としては500m〜1km程度で、この圏内の住民は徒歩または自転車利用によるアクセスであるが、徒歩以外では自家用車によるアクセスが圧倒的に多く、当該地域のマイカ-依存の生活習慣が窺われた。 公園の利用形態としては、日常的な散策・散歩、休憩、スポーツが主な利用形態であり、このことと関連して利用施設としては自由広場・芝生広場および野球場やテニスコートなどのスポーツ施設の利用が主たるものとなっている。 また利用季節としては積雪寒冷地であるため5月〜8月の温暖な季節に利用が集中している。 こうした公園利用は、きわめて一般的で利用者の分布も公園を中心とした同心円内に距離抵抗による利用者密度の濃淡もあり、都市の中心地構造と同様な地域構造が見られ、Huff型の重力モデルのあてはまりも良い。ただし、これもすべての公園に整備されている自由広場・芝生広場などの多目的利用空間に依存するものであるため、公園個々の特色による利用者の吸引力を反映することが困難である。すなわち、個々の公園の魅力を反映した需要予測には至らないと考えられる。このことに対応するにはロジットモデルなどの非集計モデルによる分析を今後行い、総合的な需要予測方法の開発を行うことがより良い公園計画に資することになると考えられる。 また、潜在便益の計測・評価に関しては、仮想市場評価法(CVM)およびヘドニック法の適用を試みた。その結果、CVMにおいては公園の機能・規模を維持することに対する支払意志額(WTP)を求めたところ質問形式と支払形式による差はあるものの約1500円/人・年程度であった。またヘドニック法においては地価を被説明変数に、公園緑被率・交通アクセシビリティ・土地利用形態などを説明変数としてヘドニック回帰分析を行ったところ公園緑被率が地価に及ぼす影響がきわめて小さく地域のアメニティを提供する公園が資産価値に反映されていないことが明らかとなった。
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