研究概要 |
Mg-EDTA,Ca-EDTA,Mn(II)-EDTA,Fe(III)-EDTA,Co(II)-EDTA,Ni-EDTA,Cu(II)-EDTA,Zn-EDTA,Pb(II)-EDTAの9種の錯体について,錯体の分解及び金属除去の最適条件を検討した。各錯体の分解初速度は,錯体初濃度が0.1-1.0mMの範囲で増加するにつれて増大したが,1.0-3.0mMではほぼ一定であった。また,二酸化チタン添加量の増加に伴い,各錯体の分解初速度,各金属量及び全有機炭素(TOC)量の減少初速度は増大し,液量20mlに対し10mg以上でほぼ一定となった。これらの結果から,最適錯体初濃度は1.0mM程度,最適二酸化チタン量は10mg/20mlと決定した。溶液のpHが低下するにつれ,各錯体の分解初速度並びにTOC量の減少初速度は増大したが,金属除去に及ぼすpHの影響には各金属により差異が認められた。即ち,各金属の減少挙動は,減少初速度がpHの低下と共に増大するもの(Cu),pHの上昇と共に増大するもの(Mg,Ca),微酸性付近で最大となるもの(Zn,Pb),pHに依存せずほぼ一定のもの(Mn,Co,Ni)の4つに大別することができた。従って,金属除去のためにはそれぞれの最適pHに調節する必要があった。二酸化チタンの均一分散のためのエアレーションガスとしては,経済性,簡便性の観点から空気の使用が最適であった。 一方,二酸化チタンへのZn-EDTA等の吸着は,Langmuir式に従ったが,現時点において各錯体の吸着には顕著な差異は認められず,分解挙動との明確な相関を得るにはいたっていない。また,金属量の減少には,上述のpHの影響から,金属水酸化物等の沈殿生成や二酸化チタン表面上への光還元析出等が深く関与するものと推測される。
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