熱的に安定な架橋型三本鎖核酸を形成するオリゴヌクレオチドの合成を目指し、リンカー部位にインター力レターが結合した3'-3'末端架橋型オリゴヌクレオチドの合成を行った。遺伝子上にはポリプリン、ポリピリミジン配列が交互にコードされていることがある。第三鎖が認識し得る塩基配列はポリプリン配列に限られていることから、天然の塩基から成る一本のオリゴヌクレオチドを用いて、この様なポリプリン、ポリピリミジン交互配列から成るオリゴヌクレオチドと三本鎖核酸を形成させることは出来ない。一方、近年、異なる配列から成る二種類のオリゴマーどうしをリンカーを介し、両3'末端ないしは両5'末端どうしで結合させることにより架橋型三本鎖核酸を合成し、ポリプリン、ポリピリミジン交互配列から成るDNAと三本鎖核酸を形成させる試みが行われている。そこで今回、この様なポリプリン、ポリピリミジン交互配列から成るDNA二本鎖と熱的に安定な三本鎖核酸を形成するオリゴヌクレオチドの合成を目指し、架橋部位にインター力レターを持つ3'-3'末端架橋型オリゴヌクレオチドを設計、合成した。ペンタエリスルトールから数工程の反応で得られるCPG樹脂を用いて、DNA自動合成機でオリゴヌクレオチドlおよび2を合成した。合成したオリゴヌクレオチドの三本鎖核酸形成能を熱変成法により検討した。その結果、未架橋のオリゴヌクレオチドを用いた場合には、Tmが観察されなかったに対し、架橋した1では9.4℃、また、アンスラキノンを直接導入した2では23.5℃とオリゴヌクレオチドを架橋すること、また、オリゴヌクレオチドにインターカレターを直接結合させることにより三本鎖核酸の熱的安定性が大きく上昇することがわかった。
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