本年度は、タンパク質に導入する分子認識機能ユニットとしてイミノ二酢酸と、ボロノフェニルアラニンを修飾したヘム(補欠分子)を合成した。これらを再構成法によってミオグロビンに導入して、その応答挙動を定量的に評価した。それによるとイミノ二酢酸については、遷移金属イオンと強く錯化し、ミオグロビンへの電子移動を加速すること、ボロノフェニルアラニンについては、糖類と結合することによって、ミオグロビン分子全体を安定化するだけでなく、アニリンヒドロキシル化反応活性を増幅することが示された。また、ボロノフェニルアラニン修飾ヘムは、これまでうまくいかなかったアポヘモグロビンとの再構成が高収率で可能であった。この新しい修飾ヘモグロビンは、ミオグロビンと同様な糖類の結合による構造安定化を起こすことがわかった。ヘモグロビンのアロステリックな酸素結合活性をこのような外部環境の変化でコントロールできる可能性があるので来年度は、その点を重点的に研究する予定である。
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