ヒアルロン酸とその細胞外マトリックスの個体における機能解析を目的に、現在3遺伝子がクローニングされているヒアルロン酸合成酵素のうちヒアルロン酸合成酵素遺伝子1(HAS1)を欠損したノックアウトマウスを作製した。以下に実験の概要を示す。HAS1cDNAをプローブにしてマウス129svゲノムDNAライブラリーがらマウスHAS1ゲノム遺伝子を単離した。制限酵素地図、シークエンシングなどによりHAS1遺伝子の全容を明らかにした後、エクソン5の一部をネオマイシン耐性遺伝子で置換したターゲティングベクターを構築した。ターゲティングベクターをエレクトロポレーション法にてES細胞に遺伝子導入し、G418薬剤耐性クローンを得た。PCR及びサザンブロットにより、薬剤耐性ES細胞の染色体DNAを解析し、遺伝子相同組換えの結果、HAS1遺伝子に欠損をもつクローンを同定した。キメラマウスは相同組換えES細胞をC57BL/6Jマウス由来の胚盤胞に顕微注射により注入して作製した。当該キメラマウスとC57BL/6Jマウスとの交配でF_1ヘテロマウスを得た。遺伝子型の解析は野生型と変異型を区別するPCR法により行った。ヘテロ変異マウスは外見上正常に発生し、成体においては生殖能力を有していた。また5カ月令までの経過において、明確な異常は認められなかった。現在ヘテロ変異マウス同士の交配により、ホモ変異マウスの解析を進行している。
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