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1997 年度 実績報告書

昆虫生体防御遺伝子の活性化経路の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09780561
研究機関東京大学

研究代表者

小林 綾子  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (90272484)

キーワード昆虫生体防御 / 転写因子 / レクチン
研究概要

本年度は、昆虫生体防御遺伝子の転写活性化機構を明らかにする目的で、
(1)生体防御遺伝子の転写制御領域の一つと考えられるkappaB様配列への結合因子、59kDa蛋白cDNAクローニングを行い、その全一次構造を明らかにした。得られたクローンの最長オープンリーディングフレームのコードする蛋白の予想アミノ酸配列に関して、ホモロジー検索を行ったところ、全体にわたって有為な相同性を示す蛋白は存在しなかった。しかし、rel homology domain(RHD)と比較的相同性の高い領域と更にC末端には4つのankyrin repeats(Ank)のコンセンサス配列が見出された。このようにRHDとAnkとを有するrel family転写因子は前駆体としては知られるものの、活性化の際にはAnkが分解することが知られており、分解することなく核において転写調節に働く点で、59kDa蛋白は未知の転写活性化メカニズムに関与する蛋白であることが示唆された。
(2)また、59kDa蛋白mRNAの発生過程における発現に関してノザンブロット解析を行った。その結果、初期発生(幼虫組織の形態形成)の進む未受精卵と初期胚、および後期発生(成虫組織の形態形成)の盛んな三令幼虫後期と蛹の初期とに発現していた。これらの時期は、生体防御遺伝子群が発生過程に一過的に発現し、機能する時期に対応しており、59kDa蛋白は生体防御時のみならず、発生過程におけるこれらの遺伝子の転写制御にも関わること示唆された。
以上のように、予定していた初年度の研究計画通りに進行した。更に次粘度に向けて、
(3)ショウジョウバエにて、レクチン遺伝子転写制御領域をレポーター遺伝子の上流にもhybrid遺伝子を導入するためのコンストラクトの作成を開始した。その際に、生体防御レクチンの5'上流領域の塩基配列3kbpを更に解析したところ、59kDa蛋白の結合配列のクラスターやDNA bendingによりゲノムの高次構造を変化させる配列や哺乳動物の免疫関連遺伝子の転写制御領域配列などが発見された。これらは今後のショウジョウバエでの遺伝子発現制御を解析するうえで興味深い知見を提供した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Yano,T.: "Purification and characterisation of cathepsin B mRNA 3'-untranslated-region-binding protein(CBBP),a protein that repress cathepsin B mRNA translation." Eur.J.Biochem.245,. 260-265 (1997)

  • [文献書誌] Hori,S.: "Monoclonal antibodies against pupa-specific surface antigens of Sarcophaga peregrina(fleshfly)hemocytes" B.B.R.C. 236,. 497-501 (1997)

  • [文献書誌] Hijikata,M: "Inhibition of protein tyrosine kinase by 5-S-GAD,a novel antibacterial substance from an insect." B.B.R.C. 237,. 423-426. (1997)

  • [文献書誌] Lee,W-J.: "Molecular cloning and chromosomal localization of a prophenoloxidase cDNA from the malaria vector Anopheles gambiae" In'sect Molecular Biology. 7(1),. 41-50 (1998)

  • [文献書誌] 小林綾子、名取俊二: "BioDetenceシリーズ2 マクロファージと生体防御 生体防御と発生における昆虫の体液細胞の機能について" 菜根出版, 26-53 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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