研究概要 |
本研究は,重要だがほとんど調べられていない熱ショック時におけるシャペロニンのはたらきを解析する。まず,本年度は取っ掛かりとして,我々が最近見つけた好熱菌のシャペロニンがATP存在下でリン酸化されるという現象を詳細に調べた。シャペロニンのリン酸化が細胞の熱耐性に影響しているらしいということは以前より示唆されているのだが,研究が最も進んでいる大腸菌のGroELではそのリン酸化の効果を調べることができない。そこで,安定なリン酸化体を調製できる好熱菌を用いて研究を行った。 実験は以下のように進めた。 1)リン酸化部位の同定ーリン酸化シャペロニンを酸加水分解した後にリン酸化アミノ酸を解析した結果,好熱菌シャペロニンでのリン酸化残基はチロシンかスレオニンであることがわかった。さらに臭化シアン分解断片の解析から,リン酸化部位は,アミノ酸配列の315-489の中にあることもわかった。 2)リン酸化シャペロニンの機能解析ーリン酸化シャペロニンを調製し、シャペロニンの機能にどう影響しているのか詳細に調べた。具体的には,ATP加水分解活性,熱変性蛋白質との相互作用,蛋白質の折れ畳みに与える影響などを,リン酸化されていないシャペロニンと比較することで解析した。
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