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1998 年度 実績報告書

アポトーシスにおけるPKCδ ε θの限定分解の生理的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 09780578
研究機関横浜市立大学

研究代表者

水野 恵子  横浜市立大学, 医学部, 助手 (90221803)

キーワードprotein kinase C / apoptosis / 限定分解 / 細胞周期
研究概要

申請者はこれまでに、ヒト血球細胞細胞のapoptosisに伴い、Ser/Thrリン酸化酵素の一種、プロテインキナーゼC(PKC)が限定分解を受け、その結果活性を有したままの活性部位断片と制御部位断片が細胞内に蓄積することを明らかにした。これらの現象は複数あるisoformのうち、PKCδ、ε、及びθで顕著にみられるが、α、βII、ζではみられなかった。そこでリコンビナントのPKCδ活性部位断片を作製し、マーカー遺伝子GFPと供に、細胞への導入実験を行ったところ、GFP発現した細胞の数が極端に減少し死細胞が多く見られた。一部の細胞ではapoptosisの特徴である細胞の縮小や核の凝集、或いは断片化が認められた。点変異を加えることにより活性型としたPKCδの場合も同様の結果が得られたが、野生型のδやATP結合部位に変異を加えた不活性型の活性部位断片ではこの様な効果が見られなかった。即ちPKCδは限定分解により活性化され、何らかの基質のリン酸化を介することによりapoptosisの進行に寄与していることが示唆された。一方、PKCδ制御部位断片を高発現したCOS細胞やNIH3T3細胞では、コントロールに比べ多核を呈した細胞の割合が有意に増えた。これは細胞質分裂が阻害されたことによると考えられるが、野性型PKCδではこの様な効果は見られなかった。また、繊維芽細胞を用いた実験から、野生型のPKCδはG1からS期への進行に寄与しDNA合成を促進することが明らかになった。δ制御部位断片の高発現は内在性のδに対し優勢抑制型に働きこれを阻害した。以上のことから、限定分解により生じたPKCδの制御部位断片はDNA合成や細胞分裂を抑制することによって細胞の正常な増殖周期を阻害し、細胞がapoptosisのシグナルを受けやすくしている可能性が示唆された。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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