ケージ化グリコケノデオキシコール酸(caged GCDCA)の溶液に7α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素の結晶を一昼夜浸した後、取り出してキャピラリーに封入し、高エネルギー加速器研究機構所放射光研究施設のビームライン18Bにおいて光を当てない状態でラウエ回折強度データを収集した。1フレームにつき20ミリ秒の露出とし、10゚(スピンドル軸の角度)間隔で合計6フレームの撮影を行った。キャピラリーをゴニオメータヘッドに取り付けたまま、照明を点灯し、1時間後に再度、同じ条件でラウエ回折強度データを収集した。反応の前後の2つのデーターセットに対し、結晶構造解析を行い、酵素反応の前後での構造の比較を行った。 400×800mm^2の大型イメージングプレートを用いて収集したラウエ回折強度データは、プログラムLAUEGENを用いて処理を行った。積分強度の波長に対する規格化を行った後、すべてのフレームのデータをマージして一つのデータセットとした。プログラムREFMACを用いて酵素反応の前後の立体構造の精密化を行い、両者の比較を行った。両者とも差フーリエ図上にグリコケノデオキシコール酸、あるいはその反応産物に対応する電子密度分布を観測することはできなかった。そもそも、ケージ化グリコケノデオキシコール酸が7α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素の結晶に導入されていなかった可能性がある。
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