研究概要 |
Dofタンパク質はZnフィンガーモチーフを一つだけ形成する新しいDNA結合ドメインを共有する植物を転写因子のファミリーである。このタンパク質は広く植物界に存在し、何らかの重要な役割を担っている可能性を示唆してきた。既に、トウモロコシのDofタンパク質,Dof1とDof2は、葉組織での光に応答した遺伝子の発現抑制に関する転写因子であることも示唆している。実際、Dof1は、in vivoでもin vitroでもC4光合成における初期炭酸固定酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(C4型PEPC)遺伝子のプロモーター領域に結合することができた。一方で、米国UCSDのグループは、Dofドメインの保存配列を用いて、トウモロコシの種子特異的発現に必要なDNA配列に結合する種子特異的なDofタンパク質PBFのtDNAをクローン化している。今回、トウモロコシのプロトプラストを用いて、Dof1とDof2のC4型PEPC遺伝子のプロモーターの活性に対する効果を調べたところ、Dof1は光に応答したこのプロモーターの活性を促進し、Dof2はこのプロモーター活性を抑制する事を明らかにした。また、ランダムに合成したDNAから結合能の高いDNAを選択する方法によって、Dof1、Dof2、Dof3及びPBFの認識する配列を比較したところ、いずれもAAAGをコア配列として認識するが、認識配列は若干異なっており、この配列の近傍の配列も結合に影響をあたえる事を明らかとした。Dof1とDof2の認識配列には有為な差が確認されず、Dofタンパク質の認識配列の相違は、異なる生理的機能を反映していることを示唆した。
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