メダカで報告されているcDNA配列からプライマーを作成し、PCR-RFLP法により当該遺伝子座をマップすることによりいままでに50あまりのcDNAをマップし、その連鎖関係を解析した。その結果哺乳類や両生類においてMhc領域に連鎖している免疫関連遺伝子はメダカではゼブラフィッシュと同様にゲノム内に分散して存在することが明らかとなった。メダカとゼブラフィッシュとの系統関係を考慮すると真骨魚類のほとんどがこのような分散型のMHC構造を持つと考えられる。そのほかMhc class l-LMP2/7遺伝子座間のシンテニーやBf/C2-Fgfr4遺伝子座間のシンテニーなどがメダカとゼブラフィッシュとの間で保存されていた。シンテニーを比較可能な共通の遺伝子座か少ないにもかかわらず、複数の連鎖群でのシンテニーがメダカとゼブラフィッシュで保存されていることを考えると、ゲノム内のかなりの部分がメダカとゼブラフィッシュでは共通の構造を持っていることが予想される。メダカは側棘鰭類に属し、ゼブラフィッシュは骨鰾類に属する。真骨魚類の進化を考えると、真骨魚類の共通祖先からまず骨鰾類の系統が分化し、その後に側棘鰭類そして棘鰭類の系統が分化したと考えられている。つまりメダカとゼブラフィッシュは真骨魚類の系統ではもっとも離れたものの一つであると考えられる。このことから両者の共通形質はかなりの確率で真骨魚類の共通祖先が持っていた形質であると予想できる。この観点から遺伝子ファミリーを形成する遺伝子群を中心にさらに詳細な連鎖地図を作成するとともにHox遺伝子などのクラスター構造をとる遺伝子を塩基配列レベルで比較することで真骨魚類のみならず脊椎動物全般の進化に対する新たな知見が得られると期待される。
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