Krev-1-は、Rasのトランスフォーメーション活性を抑制する活性を持つ因子として我々が同定した、Rasに約50%の相同性を示す低分子量Gタンパク質である。 Krev-1の機能を探索する上での1つの方法としてイーストtwo-hybridアッセイを用いマウス脳cDNAライブラリーをスクリーニングしKrev-1結合因子の探索を試みた結果、Ras及びKrev-1に結合する既知の因子の他に未同定のralGDS関連因子(クローン328)も得られた。一方、Krev-1に対してのみ非常に強い結合活性を示すクローンが2つ(クローン24及び30)得られた。クローン24及び30についてさらに他の低分子量Gタンパク質(R-Ras、Ral、Rho)との結合活性を調べたが、結合活性は見られなかった。次にKrev-1/H-Rasキメラ遺伝子を用いて結合に関与する領域の同定を試みた結果、Krev-1のN末側の60アミノ酸残基が重要であることが示唆された。 上述の3クローンに関し、別のcDNAライブラリーから全長のcDNAを単離し構造の解析を進めた。その結果、クローン328とクローン30はそれぞれ約700アミノ酸からなるタンパク質をまたクローン24は約1500アミノ酸からなるタンパク質をコードすることが示唆された。現在、NIH3T3細胞やRasでトランスフォームしたDT細胞へ、単独のトランスフェクションあるいはKrcv-1とのコトランスフェクションを試みてどのような生物活性を示すかの検討を進めており、それらの結果を通じてこれらのクローン自身の機能やKrev-1及びRasとの関係について考察したい。
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