研究概要 |
リボザイムには,タンパク質成分を活性化因子として要求するものがあり,実際,遺伝子発現に重要な因子の多くが,RNA-タンパク質複合体として機能している。この計画では、グループIリボザイムを基本因子とみなし、その機能と活性を特異的に制御するタンパク因子を,人工的に作成し、その作用機構の解明を目的として研究を行った。 本研究は、[1]グループIイントロン・リボザイム(GIリボザイム)を活性化するタンパク質因子の作成、[2]得られたタンパク質因子の機能解析、の二段階に区分できる。平成9年度は前者について研究を行った.b-ガラクトシダーゼ遺伝子中にGIイントロンを含み、イントロンが効率良くスプライシングを受けた場合のみ、遺伝子が発現するようにデザインされたプラスミドを構築することに成功した。このプラスミドを大腸菌に導入し、これらを導入された大腸菌を、ラクトースを炭素源とする培地で育成する。この操作により、大腸菌の成育速度を指標としてGIリボザイムの活性を検定できるシステムの構築に成功した。現在このシステムに対して,GIリボザイムの既知の活性化因子であるCyt-18タンパク質を導入して,GIリボザイムの活性を促進するポリペプチド(タンパク質)を選別するシステムとして使用可能かを検討中である。 またこのシステム構築と平行してGIリボザイムがRNA-タンパク質複合体として機能するのに必要なリボザイム側の要素についての知見を得る目的で,リボザイム自身が自己の分子内に有する活性化部位の同定と機能解析を行なった.その結果テトラヒメナ由来のGIリボザイムについて新規な活性化部位を見いだした.今後は上記のシステムを用い,今回同定した分子内活性化部位の機能を代替できるタンパク因子の作成も行なう予定である.
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