線形動物Ascaris suumミトコンドリア(mt)mRNAの解析を行った。A.suumのmtDNAにコードされているCytochrome oxidase subunit III (COIII)遺伝子はGUUコドンを開始コドンとして用いると考えられている。実際にこのGUUコドンが開始コドンとして用いられているのか、RNA編集の可能性がないのかを明らかにするため、A.suumの全RNAを用いて、5´-RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)を行い、COIII mRNAの5´-領域の解析を行った。解析した範囲では、A.suumミトコンドリアでは現在のところ、RNA編集の存在は確認されていない。この種については、5´-末端領域に限定せず、3´-末端領域についても、また、他のRNAについてもさらに解析を進める予定である。また、脊索動物(尾索動物)マボヤHalocynthia roretziミトコンドリア(mt)RNAの解析を行った。現在のところ、RNA編集の発見には至らないが、幾つか遺伝子配列の情報から予想していた位置とは大きく異なる位置でプロセシングされているRNA分子(mRNA及びtRNA)を見出したので、RNA編集との関連も考えながら解析を行っている。また、各種DNAデータベースより、無脊椎動物mtDNAの塩基配列データを入手し、それらについて、RNA編集の可能性について、さらに検討中である。
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