研究概要 |
酵母three-hybrid systemを用いて、C型肝炎ウイルスゲノムRNAの3'末端領域(HCV-3'X)と宿主タンパク質との相互作用を調べるために以下のような実験を行った。 1. 以前にプローブRNAの発現に用いたpIII/MS2-2にはレポーター遺伝子の発現がリークしやすく、ライブラリ′ースクリーニングを行った際にバックグラウンドを高くするという欠点があった。そこでこの点を改善したpIIIA/MS2-2にHCV-3'Xをクローニングし直し、新たにpIIIA/3'X-MS2を構築した。 2. 最近、別のアプローチによりHCV-3'Xに特異的に結合する宿主タンパク質として、polypyrimidine-tract bindingprotein(PTB)が同定された。そこで、このことを酵母three-hybrid systemで確認するために、PTB遺伝子をpACT2にクローニングし、GAL4転写活性化ドメインとの融合タンパク質発現プラスミドpACT2・PTBを構築した。pACT2・PTBとplIIA/3'X-MS2を酵母L40-coat株に導入したところ、レポーター遺伝子の発現が観察され、酵母three-hybrid systemにおいてもPTBとHCV-3'との特異的相互作用が確認された。 3. HCV-3'Xに特異的に結合する宿主タンパク質をスクリーニングするため、pIIIA/3'X-MS2とヒト胎盤cDNAライブラリーを酵母L40-coat株に導入しHisを欠いた合成培地プレート上の生育を調べた。約300,000コロニーについて調べたところ、約200個がHis^+であった。このうち明らかにHis^+であるものを108個選び、続いてβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)活性を調べたところ、全てβ-gal^+であった。現在、これらのHCV-3′Xに対する特異性と遺伝子の同定を行っているところである。
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