1、分裂酵母RNAポリメラーゼIIを構成する10種類のサブユニット蛋白質間の相互作用の解析を行い、以下の様に、8つの小型サブユニット(Rpb3、5、6、7、8、10、11、12)と2つの大型サブユニット(Rpb1、2)の結合関係を決定した。 (1)、10種類の遺伝子組換えサブユニット蛋白質をフィルター上に固定し、各組換え小型サブユニットをプローブとして用いるファーウェスタン解析で、全ての小型サブユニットが、2つの大型サブユニットに結合すること、また、Rpb3とRpb11の2つのサブユニットが互いに強く結合することを見いだした。 (2)、分裂酵母より精製したRNAポリメラーゼIIを5種類の架橋剤で処理した後、各サブユニットに対する抗体を用いたウェスタン法による解析で2サブユニット間架橋体を同定することにより、小型サブユニットは全て、大型サブユニットの片方、または、両方と架橋形成すること、大型2サブユニット間に架橋が形成されること、また、小型サブユニット間の5つの組み合わせで、架橋が形成されることを示した。 2、染色体上のRpb1またはRpb3遺伝子にヒスチヂン・タグをコードする配列を付加した分裂酵母株を作製し、これらより精製したRNAポリメラーゼIIを、ニッケル・イオンを配位した樹脂上にタグを介して固定した後、変性剤で部分的に乖離させることにより、部分複合体を単離した。6Mの尿素による処理では、Rpb1-Rpb8、Rpb2-Rpb3-Rpb11の2種の部分複合体が単離され、これらのサブユニットが強く結合していることが見いだされた。これらの部分複合体には、RNA合成活性は認められなかったが、Rpb2-Rpb3-Rpb11複合体と遊離Rpb1の両方にDNA結合活性が認められ、RNAポリメラーゼIIの強いDNA結合活性には、これら二つの成分が関与していることが明らかとなった。
|