研究概要 |
出芽酵母の液胞コンパートメント構築に関与するt-SNARE分子として,Pep12pとVam3pが知られている.これら二つのt-SNAREがゴルジ装置以降の小胞輸送過程においてどのような機能を行っているのかを遺伝学的に解析した.その結果,液胞タンパク質分解酵素の機能発現に関与する遺伝子として同定されたPEP12遺伝子に欠損をもつ変異株pep12は可溶性液胞タンパク質,CPYを細胞外に輸送してしまうが,一方,vam3変異株はCPYを細胞外には誤輸送しない・vam3変異株は液胞膜タンパク質,ALPの生合成に欠損を示し,細胞内には断片化した液胞コンパートメントが存在するといいた表現型を示すのに対して,pep12変異株はALPの生合成には顕著な異常を示さず,また,形態的に野生型と同様の液胞を持つといった,対照的な表現型を示した.このことは二つの異なったシンタクシン様分子,Vam3pとPep12pが異なる機能を果たしながら液胞形成に関与していること,また,液胞可溶性タンパク質と液胞膜タンパク質の局在化には異なる機構が関与していることを意味した.そこで,vam3 pep12二重突然変異株を作成し、その表現型を解析したところ,この二重突然変異株はCPY,ALP両方の成熟化に欠損を示したのみならず,形態的に液胞と認められる構造を欠いていた.以上の結果より,液胞形成には2つの異なるpathwayが存在しておりPep12pとVam3pがこのpathwayに機能していると考えている.
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